同じ会社で給料を上げる方法はある?昇進・資格・社内異動の現実【2026年版】

同じ会社で給料を上げる方法はある?昇進・資格・社内異動の現実 転職

「給料は上げたい。でも転職はリスクが大きいし、できれば今の会社で何とかしたい」

そう考えるのは自然なことです。転職には未知の環境への適応コスト、人間関係の再構築、入社直後の評価不安など、見えないリスクが多くあります。一方で、現職での給料アップが本当に可能なのかは、感覚ではなくデータで見て判断すべき問題です。

本記事では、転職せずに今の会社で給料を上げる5つの方法と、それぞれの現実的な効果・限界を整理します。最後に「現職で頑張る」と「転職する」の比較もデータで示します。

「転職以外で給料を上げたい」という気持ちは合理的だが、現実は厳しい

まず前提として、現職で給料を上げる選択肢があること自体は事実です。日本企業には昇進、昇格、資格手当、社内異動、年収交渉、副業といった、転職以外の年収アップ手段が複数存在します。

ただし、それぞれの方法には現実的な制約があります。「がんばっていればいつか給料が上がる」という素朴な期待は、近年の労働市場では成立しにくくなっています。なぜなら:

厚生労働省の毎月勤労統計調査(2025年分結果確報)によれば、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年比マイナス1.3%で、4年連続のマイナスでした。つまり、現職に居続けると名目給料は微増していても、購買力としての給料は目減りし続けています。

この前提を踏まえた上で、現職での給料アップ手段を一つずつ見ていきます。

なぜ「現職で給料を上げる」のは難しいのか

現職での年収アップが難しい理由は、企業の給与制度の構造にあります。多くの日本企業では、給与テーブル(賃金表)が役職・等級ごとに設定されており、その範囲内でしか給料は動きません。つまり、現在の役職・等級の上限に近づくほど、毎年の昇給幅は小さくなります。

さらに、ポスト数には限りがあります。課長・部長になれる人は組織のピラミッド上、ごく一部です。「課長になれば給料が上がる」と分かっていても、なれるかどうかは自分の努力だけで決まりません。

加えて、近年の年功序列の弱体化も影響しています。終身雇用や定期昇給を前提とした制度を縮小する企業が増え、勤続年数だけで自動的に上がる賃金は減少傾向にあります。

この制約の中で、それでも給料を上げる方法は何があるのか。具体的に5つ見ていきます。

現職で給料を上げる5つの方法

方法1:昇進・昇格を目指す

最も王道なのが、役職を上げる(昇進)または社内等級を上げる(昇格)ことです。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、男性の平均賃金は非役職者と部長級で約2倍の差があります。女性も同様に部長級は非役職者の約2倍です。役職を上げられれば、年収は数百万円単位で動きます。

ただし、現実的な制約は大きいです。昇進にはポスト不足があり、昇格にも社内評価の競争があります。また、昇進・昇格の判断基準は企業ごとに違い、年功序列が残る企業では成果よりも勤続年数が重視されます。

向いている人は、現在の社内評価が高く、上位職へのキャリアパスが具体的に見えている人です。直属の上司から「あと数年で課長」と示唆されているような場合は、昇進待ちの戦略は有効です。逆に、ポストが詰まっていたり、評価制度が不透明だったりする会社で昇進を待ち続けるのは、機会損失になる可能性が高くなります。

方法2:資格を取得して資格手当を得る

職種に関連する資格を取得すると、資格手当が支給される企業があります。

厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」によれば、企業の約半数(50.8%)が何らかの形で資格手当を支給しており、平均月額は約18,800円です。年間にすると22万円程度。これは現職に居ながら確実に上乗せできる収入として無視できない金額です。

ただし注意点もあります。すべての資格に手当が出るわけではなく、自社の就業規則で対象資格と支給額が決まっています。手当の対象外の資格を取っても給与は変わりません。さらに、難易度の高い資格(公認会計士、弁護士、不動産鑑定士など)の手当は数万円規模になりますが、取得までに数年かかります。

向いている人は、自社の資格手当規定を確認した上で、業務に直結する資格に挑戦する人です。IT系であれば情報処理技術者試験や各種ベンダー資格、経理であれば日商簿記1級・税理士科目、建設業界であれば施工管理技士など、職種に応じた選択肢があります。

なお、資格取得は転職市場での評価にも直結するため、現職で手当を得ながら、市場価値も同時に上げられる二重の効果があります。

方法3:社内異動で給与水準の高い部署に移る

同じ会社内でも、部署・部門によって給与水準は異なります。営業から経営企画、間接部門から事業部門、低収益事業から高収益事業へ。社内異動で給与レンジの上にシフトできれば、転職せずに年収を上げられます。

特に大手企業では、事業部ごとの利益率の差が個人の年収に反映されることがあります。商社や総合電機メーカーで、儲かっている事業部の社員と苦戦している事業部の社員で年収が数百万円違うというのは珍しくない話です。

向いている人は、社内の評価が高く、異動希望が通りやすい立場にある人。また、新しい人間関係を一から築くことが苦にならない人です。逆に、社内政治力が必要だったり、希望の部署に人材ニーズがなかったりすると、異動自体が実現しません。

方法4:年収交渉で現職での給与を引き上げる

社内で高い評価を得ている場合、上司や人事に直接賃上げ交渉をする選択肢もあります。

特に効果的なのは、転職活動を本気で進めていて、他社からの内定(オファーレター)を持っている状態での交渉です。「他社から〇〇万円のオファーが来ている」という客観的な事実を提示できると、企業は引き留めのために条件を改善することがあります(カウンターオファー)。

ただし、リスクもあります。交渉が失敗すると関係が悪化するケースがあること、引き留めの金額が他社オファーを下回ることが多いこと、そもそも日本企業では個別の年収交渉に応じる文化が薄い会社が多いことです。

向いている人は、自分の市場価値を客観的に把握し、転職という選択肢を実際に取れる準備ができている人です。「上げてくれなかったら本当に転職する」という覚悟がない交渉は、足元を見られて終わります。市場価値の把握については自分の市場価値の調べ方|転職前に必ずやる年収診断の手順で詳しく解説しています。

方法5:副業で収入源を増やす

近年、副業を解禁する企業が増えています。本業の給料はそのままに、別の収入源を作ることで世帯収入を上げる戦略です。

副業の種類はさまざまで、本業のスキルを活かしたフリーランス案件(プログラミング、デザイン、ライティング、コンサルティング)から、まったく別領域のもの(投資、不動産、コンテンツ販売)まで幅広くあります。

メリットは、本業を辞めずにリスク低く収入を増やせること、本業のスキルが市場でいくらの値段がつくか実感できること(市場価値の把握にもなる)です。

デメリットは、本業との両立で時間的な負担が大きいこと、税務処理が必要になること、そして自社の副業規定に違反するリスクです。副業を始める前に、必ず就業規則で副業の可否と申請ルールを確認しましょう。

「現職で頑張る」と「転職する」の現実的な比較

ここまでの5つの方法を踏まえて、現職での年収アップと転職の効果を比較してみます。

連合の2025年春闘第5回集計によれば、全体の平均賃上げ率は5.26%、平均引き上げ額は月16,399円。これが定期昇給込みの「がんばった結果」の標準的な数字です。年間にすると約20万円のアップ。一方で、実質賃金マイナスを考慮すると、購買力としての伸びはほぼゼロかマイナスになります。

これに資格手当(年22万円程度)や昇進(数年に一度のイベント)を組み合わせれば、5年スパンで年収を50〜100万円上げることは可能でしょう。

一方、転職の場合。厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、転職で年収アップした人のうち約7割が10%以上の増額を実現しています。年収500万円の人なら、転職活動半年〜1年で50万円以上のアップを狙える計算です。

つまり、5年かけて社内で達成する金額を、転職なら半年〜1年で達成できる可能性があるということです。

もちろん、転職には不確実性があります。同じ厚労省データでは、転職で年収が下がった人も40%程度います。準備不足で転職すると年収ダウンになるリスクは現実的です。

どちらを選ぶべきかの判断基準

「現職で頑張る」と「転職する」のどちらが合理的かは、以下の3つの要素で判断できます。

社内に明確な昇進・昇格のキャリアパスが見えているか。直属の上司や人事から「数年以内に昇進できそうだ」というシグナルが出ているなら、現職を続ける合理性は高いです。逆に、ポストが詰まっていたり、評価制度が不透明だったりする場合は、転職を真剣に検討する段階です。

自分の市場価値が現年収を上回っているか。市場価値が現年収より高ければ、現職で頑張るほど機会損失が積み上がります。逆に市場価値が現年収以下なら、転職してもむしろ下がるため、現職でスキルを蓄積する期間と捉えるべきです。

業界そのものの給与水準は適切か。所属業界の給与水準が低い場合、いくら社内で頑張っても天井があります。業界自体を変える転職を検討する価値があります。業界別の年収水準は年収が高い業界ランキングで詳しく解説しています。

まとめ:現職での選択肢と転職の選択肢を両方持つのが正解

「転職するか、しないか」を二者択一で考えるのではなく、現職で給料を上げる5つの方法と、転職という選択肢を、両方天秤にかけて判断するのが現実的なアプローチです。

現職での選択肢として:

  • 昇進・昇格を目指す(昇進すれば年収約2倍も視野)
  • 資格手当を狙う(平均月18,800円、年間約22万円)
  • 社内異動で給与水準の高い部署へ
  • 年収交渉(市場価値を把握した上で)
  • 副業で収入源を増やす

これらを試した上で、それでも年収アップが見込めないと判断したら、転職に踏み切るタイミングです。逆に、これらの方法で十分な年収アップが見込めるなら、現職を続けるのが合理的です。

判断の出発点は、自分の市場価値を客観的に把握すること。その上で、現職で得られる年収アップと、転職で得られる年収アップを定量的に比較することです。

転職を含めた給料アップの全体戦略については給料を上げる最短ルートは転職|データで分かる年収アップの真実で、判断の基礎となる市場価値の把握方法は自分の市場価値の調べ方|転職前に必ずやる年収診断の手順でそれぞれ解説しています。


参考:

  • 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
  • 厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」
  • 厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」
  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025年分結果確報」
  • 連合「2025年春季生活闘争 第5回集計」