20代の4割弱が、すでに転職を経験している
「転職は特別なこと」というイメージは、20代に関してはもう古い。
リクルートの「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」によれば、20代正社員のうち37.4%がすでに転職を経験している(出典:リクルート2022年9月22日プレスリリース第1弾、n=2,214)。さらに、転職こそしていないものの転職活動を経験した層を含めると、20代の37.4%の経験者と19.9%の活動経験者を合わせて57.3%が「転職に向き合ったことがある」状態にある。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査でも、20〜24歳男性の転職入職率は13.4%、25〜29歳男性は15.1%、20〜24歳女性は14.3%、25〜29歳女性は16.8%(出典:厚労省 令和6年雇用動向調査結果の概況、令和7年8月26日公表)。全年代平均14.8%と比べても、20代後半は明確に転職が活発な世代だ。
しかし「不安」は95%が抱えている
ところが、いざ転職活動を始めようとすると、ほぼ全員が不安にぶつかる。
エン・ジャパンが2026年2月に発表した「転職活動の不安」実態調査では、20代の95%(大いにある64%+少しある31%)が転職活動に不安を感じていると回答した(出典:エン株式会社2026年2月18日発表 No.4202、有効回答1,562名)。20代特有の不安として目立つのが「面接で上手くアピールできるか」56%で、これは30代の49%、40代以上の32%を大きく上回る。経験の浅さゆえに、自分を売り込む難易度が他世代より高いと感じている20代の姿が浮かぶ。
加えて、マイナビの転職動向調査2026年版によれば、20代正社員が2025年に転職した理由トップは「給与が低かった」23.6%だが、前年比で増加したのは「働く環境に不満があった」+2.8ptと「仕事内容に不満があった」+0.1ptの2項目(出典:マイナビ転職動向調査2026年版〔2025年実績〕、有効回答1,446名のうち20代n=445)。給与だけでなく、働き方や仕事内容そのものへの違和感が、転職の引き金になりつつある。
何を基準に「転職するかしないか」を決めればいいのか
ここで多くの20代が立ち止まる。
「3年は同じ会社で働け、と言われてきた」「第二新卒で本当に有利になるのか」「自分の市場価値が分からない」「給料は上がるのか」「面接で何を話せばいいのか」――不安の中身は人それぞれだが、共通するのは判断軸が定まっていないことだ。
判断軸がないまま勢いで動けば、転職後の年収が下がったり、想定と違う職場に入って後悔したりする。逆に判断軸が固まれば、データに基づいて自分の状況を客観視でき、20代という時間的優位を最大限に活かせる。
本記事で扱う5つの判断軸
本記事では、20代の転職を判断する際に必ず通過すべき5つの軸を、公的データと大手人材サービス各社の調査結果に基づいて整理する。
- 在籍期間と第二新卒の市場価値(「3年は働け」は本当か)
- 自分の市場価値とスキル(年収相場との差分把握)
- 退職理由の正当性(転職で本当に解決するか)
- 年収・業界選定(どの業界に行けば上がるか)
- キャリアの中長期視点(5年後・10年後の自分像)
加えて、20代前半と20代後半で取るべき戦略の違い、転職活動の進め方(5ステップ)、年収を上げる具体策、よくある質問までを網羅する。最後まで読めば、自分が「今動くべきか・準備すべきか・留まるべきか」を、感覚ではなくデータで判断できるようになる。
20代の転職市場のリアル|データで見る現状
20代の転職経験率と転職入職率
20代の転職市場の現状を、最新の公的データで押さえておこう。
リクルートの調査によれば、20代正社員のうち転職経験者は37.4%、転職活動経験者まで含めると57.3%(出典:リクルート就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022)。30代では転職経験者が52.8%、40代59.9%、50代58.0%と推移し、日本の正社員はおおむね40歳までに転職活動を終え、6割程度が転職経験者になる構造だ。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、より直近1年の動きが分かる。20〜24歳の転職入職率は男性13.4%・女性14.3%、25〜29歳は男性15.1%・女性16.8%(出典:厚労省 令和6年雇用動向調査)。25〜29歳女性は全年代平均14.8%を2pt上回り、もっとも転職が活発な層となっている。
2025年は正社員転職率が過去最高水準
マクロでも転職市場は活況だ。
マイナビ転職動向調査2026年版によれば、2025年の正社員転職率は7.6%で過去最高水準を記録した(出典:マイナビ転職動向調査2026年版)。背景にはミドル層の転職活発化があるが、20代の転職率も12.0%(前年比やや低下したものの依然高水準)と高止まりしている。
20代の転職回数は「平均1.8回」
20代で複数回の転職をしている人も少なくない。
リクルート調査によれば、20代の転職経験者のうち1回が62.6%、2回が23.1%、3回が8.3%、4回以上が5.9%、平均1.8回(出典:リクルート2022、20代転職経験者n=827)。30代の平均2.3回、40代2.8回と年齢が上がるほど回数も増える。
「20代で2回も転職するのは多すぎるのでは」と不安に感じる人もいるが、データ上は20代の転職経験者の37%は2回以上を経験している。回数そのものより、各転職に明確な意図と一貫性があるかが採用側の見るポイントだ(このテーマは「20代の転職回数は何回までOK?」で詳述する)。
転職活動の平均期間は3.5か月
転職活動を始めてから入社までの期間は、20代平均で3.5か月(出典:リクルート2022)。30代3.6か月、50代4.2か月と年齢が上がるにつれ長期化する。20代は経験不足というハンデがあるが、企業側のポテンシャル採用枠が厚いため、活動期間自体は他世代より短い傾向がある。
ただし、リクルート調査ではもうひとつ注目すべき数字がある。20代転職経験者の45.1%が「前の勤務先を退職した後に、現在の勤務先が決まった」、つまり離職先行型で転職している(出典:同上)。在職中に活動するか、辞めてから活動するかは、後述するメリット・デメリットで判断したい。
20代で転職するメリット・デメリット
20代の転職には、他世代にない強みと弱みがある。データに基づいて整理する。
メリット1|年収が上がる確率が高い
20代の転職は「年収が下がるリスクが小さい」のが最大の利点だ。
厚生労働省 令和6年雇用動向調査によれば、20〜24歳の転職後賃金変動は、増加50.5%(うち1割以上の増加38.5%)、変わらない31.5%、減少16.8%(うち1割以上の減少11.2%)。増減差は+33.7ptで、年代別でもっとも増加超過が大きい(出典:厚労省 令和6年雇用動向調査)。25〜29歳でも増加46.3%・減少29.2%と+17.1ptの増加超過。
マイナビ調査でも、20代男性の転職前年収494.5万円→転職後526.7万円で+32.2万円、20代女性は412.5万円→416.8万円で+4.3万円と、男女ともプラス(出典:マイナビ転職動向調査2026年版)。
特に「給与が低かった」を理由に転職した20代に絞ると、転職前360.3万円→転職後425.5万円で+65.2万円と大きく改善している(出典:同上、n=98)。明確な目的を持った転職ほど効果が出る構造が見える。
メリット2|未経験職種・異業種への転換が効きやすい
20代はポテンシャル採用枠が厚く、職種・業界を変える転職が他世代より通りやすい。詳しくは「20代未経験から異業種に転職する戦略」で扱うが、これは時間的優位の最大の使いどころだ。
メリット3|キャリアの軌道修正コストが低い
新卒で入った会社が合わなかったとき、20代のうちに方向修正すれば、その後30〜40代で積み上げる経験値の質が変わる。逆に40代で軌道修正しようとすると、年収減少を覚悟しなければならない(厚労省データでは50代男性の転職入職者は離職率が増加率を上回る局面もある)。
デメリット1|経験・スキル不足が面接で露呈する
メリットと裏表の関係にあるのがこれ。
エン・ジャパン調査で、20代の56%が「面接で上手くアピールできるか」を最大の不安に挙げているのは前述の通り(出典:エン・ジャパン2026年2月)。30代以降より「経験の浅さ」が交渉カードの少なさにつながる。
デメリット2|「すぐ辞める人」と見られるリスク
20代、特に20代前半で短期離職を繰り返すと、採用担当者から「定着しない人材」と見なされやすい。
ただし、第二新卒(卒業後3年以内)の場合は逆にプラスに働くケースもある。早期に違和感を察知して動いた、と評価されるパターンだ。境界線の判断は難しいが、目安は「在籍中にどれだけ意図的に働いたか」を語れるかどうか。
デメリット3|転職先で1から信頼を積み直す必要がある
社内人脈、業務知識、評価実績はすべてリセットされる。前職である程度の地位や裁量を得ていた場合、それを失う心理的コストは想像より大きい。20代後半で転職する人は、ここを軽視しないほうがいい。
20代の転職で失敗・後悔する人の典型パターン
20代の転職には、データから見えてくる典型的な失敗パターンがある。
パターン1|現状不満だけで動き、転職先でも同じ問題に直面する
リクルート調査によれば、20代の退職理由は人間関係への不満35.4%、仕事内容への不満34.7%、賃金への不満30.7%、労働条件や勤務地への不満25.8%(出典:リクルート2022、複数回答、20代n=827)。
これら4つは、職場が変わっても「業界・職種・組織構造」に起因する場合は再発する。たとえば「人間関係が嫌で辞めた」人が、同じく体育会系のカルチャーが強い業界に転職すれば、また同じ問題に直面する。
転職前にやるべきは、不満の原因が「会社固有」なのか「業界・職種共通」なのかを切り分けることだ。
パターン2|年収だけを見て、業界の構造的な賃金水準を無視する
業界によって平均給与には大きな差がある。
国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査によれば、業種別の平均給与は最高が電気・ガス・熱供給・水道業の832万円、次いで金融業・保険業702万円、情報通信業660万円。一方、最低は宿泊業・飲食サービス業の279万円で、その差は553万円(出典:国税庁 令和6年分民間給与実態統計調査、令和7年9月公表)。
業界の構造的な賃金水準を理解せず、目先の提示額だけで決めると、数年後に再び年収天井にぶつかる。詳しくは「年収が高い業界ランキング【2026年版】」を参照してほしい。
パターン3|辞めてから活動する「離職先行型」のリスクを過小評価
リクルート調査では、20代転職経験者の45.1%が「前の勤務先を退職した後に、現在の勤務先が決まった」と回答(出典:リクルート2022)。離職先行型は心理的負担を減らすが、入社までの期間が6か月以上かかる人が20代で20.2%存在する。貯蓄が尽きて条件を妥協する、という事態を招きやすい。
パターン4|面接対策を後回しにする
エン・ジャパン調査の20代の不安項目で、上位は「希望条件(時間・場所)に合う求人」62%、「面接で上手くアピールできるか」56%、「希望条件(仕事内容)に合う求人」47%(出典:エン・ジャパン2026)。求人探しに時間を取られ、面接準備が後回しになるパターンが多い。
特に20代は「志望動機が薄っぺらい」「未経験だと経験者に勝てない」という具体的な悩みを抱えており(同調査の20代女性のフリーアンサーから)、応募書類より先に自己分析を済ませるのが合理的。
パターン5|「3年は働け」を盲信する/逆に1年未満で安易に辞める
「3年は同じ会社で」という言説は、終身雇用が前提だった時代の名残だ。一方で、入社1年未満で辞めると第二新卒の枠から外れたり、ジョブホッパーと見なされたりするリスクもある。
このパターンは「20代の転職タイミング|『3年は働け』は本当か?」「新卒1年目で辞めたい人の判断軸」で詳しく扱う。
20代の転職を判断する5つの軸
ここからが本記事の核心。20代の転職を判断する際に通過すべき5つの軸を、データに基づいて整理する。
軸1|在籍期間と第二新卒の市場価値
最初の軸は「いつ動くか」。
第二新卒は一般的に学校卒業後3年以内の若手を指し、企業側にとっては社会人としての基礎マナーがある一方で、前職の文化に染まりきっていない柔軟性が魅力とされる層だ。
判断のポイントは2つ。
一つは「在籍期間で何を得たか」を言語化できるか。半年でも1年でも、その期間で身につけたスキル・成果・学びを具体的に語れれば、短期離職はマイナスにならない。むしろ早期に違和感を察知して動いた判断力として評価される場合もある。
もう一つは「3年待つことに意味があるか」。3年待つメリットがあるのは、その会社で身につけたいスキルや経験が明確にあり、まだそれが手に入っていない場合に限られる。「なんとなく3年」「周りが言うから3年」は判断軸ではない。
このテーマの詳細は「20代の転職タイミング|『3年は働け』は本当か?データで検証」で扱う。
軸2|自分の市場価値とスキル
2つ目の軸は「自分にいくらの値段がつくか」を把握しているか。
国税庁の令和6年分民間給与実態統計調査によれば、20〜24歳の平均給与は男性295万円・女性256万円・計277万円、25〜29歳は男性438万円・女性370万円・計407万円(出典:国税庁 令和6年分)。これはあくまで全業種平均なので、自分が属する業界の平均給与と照らし合わせて、自分の現年収が市場相場と比べて高いか低いかを把握する必要がある。
市場価値を測る具体的手順としては、転職エージェント面談・スカウト型サービスの提示年収・公的統計の3点を組み合わせるのが定石。詳しくは「自分の市場価値の調べ方|転職前に必ずやる年収診断の手順」を参照してほしい。
軸3|退職理由の正当性
3つ目の軸は「転職で本当に解決するか」。
前述の通り、20代の退職理由トップ4は人間関係35.4%、仕事内容34.7%、賃金30.7%、労働条件25.8%(出典:リクルート2022)。重要なのは、これらの不満が「会社固有のものか・業界職種共通のものか」を切り分けること。
たとえば「上司との相性が悪い」は会社固有なので転職で解決する可能性が高い。一方、「夜勤がつらい」は介護・医療・小売など業界そのものの構造に起因する場合が多く、同業他社に移っても再発する。
退職理由の正当性チェックは、面接でも必ず聞かれる。「前職の何が嫌だったか」と「次の会社で何を実現したいか」が論理的につながっていなければ、採用担当者から「同じ理由でまた辞めるのでは」と懸念される。
軸4|年収・業界選定
4つ目の軸は「どの業界に行けば上がるか」。
国税庁の業種別データを再掲する。電気・ガス・熱供給・水道業832万円、金融業・保険業702万円、情報通信業660万円、全体平均478万円、宿泊業・飲食サービス業279万円(出典:国税庁 令和6年分)。同じ20代でも、属する業界によって到達可能な年収天井が大きく異なる。
20代の転職で年収を上げる王道は、低賃金業界から高賃金業界へのシフトだ。「給与が低かった」を理由に転職した20代の年収変化が+65.2万円(出典:マイナビ転職動向調査2026年版)と平均より大きいのは、業界シフトを伴う転職が多いからだと推測される。
業界選定の詳細は「年収が高い業界ランキング【2026年版】」、年収を上げる転職全般は「給料を上げる最短ルートは転職|データで分かる年収アップの真実【2026年版】」を参照してほしい。
軸5|キャリアの中長期視点
5つ目の軸は「5年後・10年後の自分像」が描けているか。
マイナビ転職動向調査2026年版によれば、転職者の52.6%が「前職で自身のキャリアに停滞感を感じていた」と回答(出典:マイナビ2026年版)。停滞感の理由として目立つのは「仕事内容」「階層」「報酬・評価」だ。
20代でこの停滞感を放置すると、30代で取り返しがつきにくい場合がある。30代男性の転職後年収増加額が+37.6万円と20代より大きいのは事実だが、それは20代までに身につけたスキルや実績が前提になる(出典:同上)。20代で何を選択するかが、30代以降の年収カーブを規定する。
キャリアの中長期視点は、抽象論ではなく「3年後にどんなスキルを持っていたいか」「5年後にどんな役割を担っていたいか」「10年後の年収レンジは」と具体に落とし込むほど精度が上がる。
5軸チェックの結論
この5軸すべてに「明確に答えられる」状態であれば、転職を進める準備は整っている。1つでも曖昧なら、まず準備に時間をかけたほうが結果的に近道になる。
20代前半・後半で異なる戦略
20代といっても、前半と後半では市場での位置付けが大きく違う。
20代前半(22〜24歳)の戦略
20代前半は「ポテンシャル採用」の枠が最大化する時期だ。
国税庁データによれば、20〜24歳の平均給与は計277万円、25〜29歳は計407万円(出典:国税庁 令和6年分)。年収レンジは低めだが、その分「実績より将来性」で評価される。第二新卒枠を活かせる最後の時期でもある。
戦略のポイントは3つ。
一つ目は、未経験業界・職種への転換を最優先で検討すること。20代前半なら、職種を変えても採用される可能性が高い。詳細は「20代未経験から異業種に転職する戦略」で扱う。
二つ目は、年収より「身につくスキル」で選ぶこと。20代前半の年収差は誤差の範囲で、5年後にどんなスキルセットを持っているかが30代以降の年収を決める。
三つ目は、社風・カルチャーの相性を重視すること。経験が浅いほど、職場環境がパフォーマンスに直結する。
20代後半(25〜29歳)の戦略
20代後半は「経験者採用」と「ポテンシャル採用」の境目に立つ。
25〜29歳の平均給与は407万円(出典:国税庁)、転職入職率は男性15.1%・女性16.8%(出典:厚労省)と、20代前半より転職市場での流動性が高まる。一方で、ある程度の専門性や実績を求められるようになり、「ただのポテンシャル」だけでは通用しなくなる。
戦略のポイントは3つ。
一つ目は、これまでの実績を数字で語れるよう棚卸しすること。「営業として年間〇〇万円達成」「プロジェクトリーダーとして〇人規模のチームを率いた」など、具体的な成果が問われる。
二つ目は、年収交渉のカードを意識すること。20代後半は提示年収を上げる交渉余地が広がる。詳細は「転職の年収交渉|オファー面談で年収を上げる伝え方と準備」を参照。
三つ目は、30代の自分を見据えた選択をすること。20代後半の転職は、30代のキャリアの土台を作る最後の調整機会と捉えたい。
20代後半の戦略の詳細は「20代後半の転職|25〜29歳に求められるスキルと年収相場」で扱う。
20代の転職準備|何から始めるか(5ステップ)
判断軸が固まったら、実行フェーズに入る。20代の転職活動を5ステップで整理する。
ステップ1|自己分析と棚卸し(2〜4週間)
最初にやるべきは、求人検索ではなく自己分析だ。
エン・ジャパン調査で20代の43%が「自分のやりたいこと・適性がわからない」を不安に挙げている(出典:エン・ジャパン2026)。これは20代特有の不安で、30代の24%、40代以上の19%を大きく上回る。やりたいことが見えていない状態で求人を見ても、判断軸がないので決められない。
具体的には、これまでの業務内容・成果・スキル・嫌だったことを書き出し、「自分が何を提供でき、何を求めているか」を言語化する。
ステップ2|市場価値の診断(1〜2週間)
自己分析と並行して、自分の市場価値を測る。
転職エージェント2〜3社に登録して面談を受け、想定年収レンジを聞く。スカウト型サービス(ビズリーチ、リクルートダイレクトスカウトなど)に経歴を登録して、来るスカウトの年収提示額を見る。これで市場が自分にいくら払うかが見えてくる。
詳細手順は「自分の市場価値の調べ方」を参照。
ステップ3|応募書類の作成(1〜2週間)
履歴書と職務経歴書を作る。
エン・ジャパン調査で20代の30%が「応募書類の書き方がわからない」を不安に挙げている(出典:エン・ジャパン2026)。書類の書き方は「20代の転職活動マニュアル|履歴書・職務経歴書・面接・退職理由の実務」で詳述するが、20代特有のポイントは「経験が浅い分、ポテンシャルと意欲を具体例で示す」こと。
ステップ4|応募と面接(4〜8週間)
求人に応募し、面接を受ける。
20代の最大の不安「面接で上手くアピールできるか」56%(出典:エン・ジャパン2026)への対策は、想定問答を作り込み、声に出して練習することに尽きる。志望動機・退職理由・自己PR・逆質問の4つは必ず準備する。
リクルート調査によれば、20代の転職活動開始から入社までは平均3.5か月(出典:リクルート2022)。応募〜面接フェーズは2か月弱を見込んでおきたい。
ステップ5|内定・年収交渉・退職交渉(2〜4週間)
内定が出たら、提示条件を確認し、必要なら年収交渉する。
20代後半なら年収交渉の余地は十分ある。具体的な伝え方は「転職の年収交渉」を参照。
退職交渉は、原則として内定承諾後に切り出す。在職中の活動か離職先行かでスケジュールは変わるが、リクルート調査の20代データでは「前職を退職した後に現在の勤務先が決まった」が45.1%と過半数に近い(出典:リクルート2022)。離職先行を選ぶ場合は、入社まで6か月以上かかる人が20.2%存在することを念頭に、貯蓄を3〜6か月分は確保しておきたい。
20代の転職で年収を上げるには
20代の転職を年収アップにつなげる具体策を整理する。
年収を上げる4つのレバー
20代が転職で年収を上げる経路は、大きく4つある。
一つ目、業界シフト。低賃金業界から高賃金業界へ移る。国税庁データの業種別年収差(最大553万円)を考えれば、業界選びは年収にもっとも大きく効くレバーだ(出典:国税庁 令和6年分)。
二つ目、職種シフト。同じ業界内でも、営業・エンジニア・コンサルタントなど高単価職種に移ることで年収は上がる。
三つ目、企業規模シフト。大企業や外資系は同じ職種でも年収水準が高い傾向がある。
四つ目、年収交渉。同じ条件でも交渉次第で50万〜100万円の差が出ることは珍しくない。
「給与が低い」理由の20代は+65.2万円
マイナビ調査では、「給与が低かった」を理由に転職した20代の年収変化は+65.2万円(出典:マイナビ転職動向調査2026年版)。全体平均の+19.2万円を大きく上回る。これは「給与改善」という明確な目的を持って業界・職種・企業規模を選び直したからだと考えられる。
逆に言えば、目的が曖昧なまま転職すると、年収は思うように上がらない。
年収アップの全体像は関連記事へ
20代の年収アップ戦略の詳細は、「給料を上げる最短ルートは転職|データで分かる年収アップの真実【2026年版】」で詳述している。
- 年代別の年収アップ相場 → 「20代・30代・40代の転職|年代別の年収アップ相場と戦略」
- 業界選定 → 「年収が高い業界ランキング【2026年版】」
- 市場価値診断 → 「自分の市場価値の調べ方」
- 年収交渉 → 「転職の年収交渉|オファー面談で年収を上げる伝え方と準備」
- 同社で給料を上げる選択肢 → 「同じ会社で給料を上げる方法はある?」
- 年収が下がるリスク → 「転職で年収が下がる人の特徴と回避策」
20代で年収を上げたい人は、まず「給料を上げる最短ルートは転職」から読み進めると、判断材料が一気に揃う。
よくある質問(FAQ)
Q1|20代の転職は本当に厳しいですか?
データを見る限り、20代の転職は他世代より明らかに有利だ。
厚労省の令和6年雇用動向調査では、20〜24歳の転職後賃金変動は増加50.5%・減少16.8%(増減差+33.7pt)、25〜29歳は増加46.3%・減少29.2%(+17.1pt)と、ともに増加超過(出典:厚労省 令和6年雇用動向調査)。50代男性の-0.8万円、50代女性の-16.9万円(出典:マイナビ2026年版)と比べると、20代の優位性は明白。
「20代の転職は厳しい」という声があるとすれば、それは準備不足や判断軸の欠如に起因する個別事情で、市場全体の傾向ではない。詳しくは「20代の転職は本当に厳しい?データで見るリアル」を参照。
Q2|20代で何回まで転職できますか?
法的な上限はない。採用側が見るのは回数より「各転職に意図と一貫性があるか」だ。
リクルート調査では、20代転職経験者の37.4%が2回以上を経験している(出典:リクルート2022)。20代で2〜3回の転職は珍しくないが、毎回違う業界・職種に飛ぶと「軸がない」と判断される。詳細は「20代の転職回数は何回までOK?採用担当のリアル」で扱う。
Q3|新卒1年目で辞めても大丈夫ですか?
第二新卒(卒業後3年以内)の枠で動けるので、転職市場での需要は十分ある。
ただし、1年未満で辞める場合は「在籍期間で何を学んだか」「なぜ短期で辞める判断をしたか」を論理的に説明できる必要がある。詳細は「新卒1年目で辞めたい人の判断軸」を参照。
Q4|未経験の業界・職種に転職できますか?
20代、特に20代前半なら可能性は高い。ポテンシャル採用枠が最大化する時期だからだ。
第二新卒で未経験職種を狙う場合は「第二新卒で未経験の業界・職種に転職する方法」、20代全般での異業種転職は「20代未経験から異業種に転職する戦略」を参照。
Q5|転職活動の期間はどれくらい必要ですか?
20代の平均は3.5か月(出典:リクルート2022)。自己分析〜内定承諾までを月単位で見ると、自己分析・市場価値診断に1か月、応募書類作成に2週間、応募〜面接に1.5〜2か月、内定〜退職交渉に1か月程度。在職中の活動か離職後の活動かで時間配分は変わる。
Q6|在職中に活動するべきですか、辞めてから活動するべきですか?
リクルート調査の20代データでは、離職先行型が45.1%、内定先行型が37.2%、ほぼ同時が17.3%(出典:リクルート2022)。
在職中の活動は経済的安全性が高いが時間が取りにくい。離職後の活動は集中できるが、入社まで6か月以上かかる人が20.2%いるため、貯蓄が必要だ。20代前半なら離職先行でも回復しやすいが、20代後半は内定先行を推奨する。
Q7|面接で何を準備すればいいですか?
20代の最大の不安「面接で上手くアピールできるか」56%(出典:エン・ジャパン2026)への対策は、志望動機・退職理由・自己PR・逆質問の4つを声に出して練習すること。
特に退職理由は、ネガティブな表現を避けつつ、次の会社で実現したいことに論理的につなげる必要がある。20代の場合、経験の浅さは隠さず、その分「学習意欲・吸収力・素直さ」を具体例で示すのが定石。詳細は「20代の転職活動マニュアル」で扱う。
まとめ|5つの判断軸を持って動こう
20代の転職市場は、データを見る限り明らかに動きやすい時期だ。転職経験者は20代正社員の37.4%、転職入職率は20代後半男性で15.1%、転職後の賃金変動は+33.7ptの増加超過(20〜24歳)。一方で、95%の20代が不安を抱え、面接アピールへの不安は56%と他世代を圧倒する。
この「動きやすさ」と「不安」のギャップを埋めるのが、本記事で示した5つの判断軸だ。
- 在籍期間と第二新卒の市場価値
- 自分の市場価値とスキル
- 退職理由の正当性
- 年収・業界選定
- キャリアの中長期視点
5軸すべてに明確に答えられるなら、動くタイミングは今かもしれない。1つでも曖昧なら、まず準備フェーズに時間をかけよう。
20代の時間的優位は、雑に使えば何も残らないが、判断軸を持って使えば30代以降のキャリアカーブそのものを変える。本記事と関連記事群を活用して、データに基づいた選択をしてほしい。
関連記事
20代の転職を考える人向け
本記事と合わせて読むことで、20代の転職判断に必要な情報が網羅できる。第二新卒については特に深く掘り下げた記事を用意している。
- 第二新卒の転職完全ガイド|失敗しない判断軸と3年以内の戦略
- 20代後半の転職|25〜29歳に求められるスキルと年収相場
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出典一覧
- マイナビ転職動向調査2026年版(2025年実績)|株式会社マイナビ|2026年3月23日公表|有効回答1,446名(うち20代正社員n=445)
- リクルート就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022 第1弾|株式会社リクルート|2022年9月22日プレスリリース|有効回答13,240名(本レポート集計対象7,804名、うち20代n=2,214、20代転職経験者n=827)
- 令和6年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省政策統括官付参事官付雇用・賃金福祉統計室|令和7年8月26日公表
- 令和6年分 民間給与実態統計調査|国税庁長官官房企画課|令和7年9月公表
- 「転職活動の不安」実態調査|エン株式会社|2026年2月18日発表 No.4202|有効回答1,562名

